清潔で、とても明るいところ

「勝者に報酬はない」アーネスト・ヘミングウェイ

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緑の中の廃墟

2014年02月15日

 

 初めて学校をさぼったのは、小学4年生のときのことだ。

 

前の晩に来た台風が過ぎて、朝の街には生暖かい風が残っていた。

 

八月の終わりだったか、九月のはじめだったか…。遠くで蝉がないていて、半袖で家を出ようとしたら、

 

「一枚羽織って行きなさい」と母が言った。

 

 

台風の余韻がそうさせたのかもしれない。あるいは、前々から計画していた事だったのかもしれない。とにかく私は、小学校の正門の前をさらりと通り過ぎて、南へ南へと歩いていった。

 

 東八道路という大きな幹線道路まで、子供の足でもたかだか20分ほど。私は冒険者になった気持ちでいた。街の人々は、会社や学校に押し込められていて、自分ひとりだけが自由なのだ。

 

私は、東八道路に面した原っぱを目指していたのだ。その原っぱは、背丈ほどもある雑草に埋め尽くされていて、草を掻き分けて中へ中へと歩いて行くと、一軒の廃墟に行き当たる。

 

 

廃墟は緑に侵食されていて、外壁から内部まで蔦や雑草で覆われている。大きなカマキリがとれる、と友人が教えてくれた場所だ。幽霊が出るとも言われていたが、私はそうは思わなかった。

 

家の中はほとんど腐っていたけれど、所々がスポットライトを当てられたように、妙に明るいのだ。その光差す場所を求めるように、蔦と蔦の間から、はっとするほど美しい花が顔を出していたりする…。

 

縁側の一角にも明るい場所があった。私はそこに座ってビックリマンチョコを食べた。いつかこの廃墟は、緑に殺されるのだろう。それは重機に破壊されるより、ずっと美しいことだと思った。

 

 

廃墟の事は長い間忘れていた。それが京都で宿を開業するために、空き家探しをしている時に不意に思い出したのだ。

 

North + Key の建物は4階建てで、しっかりしている。しかし予想以上に明るい部屋とか、遠くに聞こえる車の音とか、外界から切り取られたようなけだるさが、どことなく似ている気がする。

 

無意識のうちに、あのときの廃墟に似た雰囲気の建物を探し求めていたのかもしれない。